公益財団法人日本書道教育学会

受賞所感

特別賞を受賞された皆様の受賞所感をご紹介いたします。

受賞おめでとうございました。

第71回書道學會展 受賞所感

第71回優秀作品紹介はこちら

内閣総理大臣賞 玉城 芳岳

玉城 芳岳

この度は、内閣総理大臣賞という身に余る大変栄誉な賞を賜り、石橋鯉城先生、應和先生はじめ審査に当たられた諸先生方のご温情に厚く御礼申し上げます。

二〇二〇年、突如日常が日常でなくなる事態となりました。緊急事態宣言発出後二ヶ月の完全休業、その後の一部休業、外出自粛等が繰り返され全く先の見えない生活となりました。自宅に籠もるほとんどの時間を書で過ごしております。書に没頭する事で不要な考えを払拭し前を向くようにと。そういう生活の中で色々な『想い』が巡り、題材の文字と決めました。今作も課題の多く残る作での出品です。特に墨色に濁りが出てしまいました。閃きは突然やってきます。予定の墨を使い切った時でした。忘れないようにと宿墨を混ぜての書作。後日書き直しましたが今作には及びませんでした。イメージが浮かんだこと、程よく緊張がとれたことが良かったのでしょう。宿墨での墨づくりの研究もしておりますが、意のままにはいかないのが現状です。また淡墨の大作では、墨色と線と造型の表現がうまく合致する事はなかなか無く苦心しております。

多くの課題に今後も取り組み、更に精進せよとの励ましの授賞と存じます。辛丑(二〇二一年)は還暦の年、新たなスタートとして、マンネリにならぬようこれからも努力して参ります。よろしくご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。

最後になりましたが、日本書道教育学会並びに書道學會展の益々のご発展をお祈り申し上げます。

中国大使賞 吉池 芳葉

吉池 芳葉

この度は第七十一回書道学會展におきまして栄誉ある中国大使賞を賜り、只々身に余る賞への驚きと感激で恐縮いたしております。これも偏に石橋鯉城先生はじめ審査の諸先生方のご厚情だと深く感謝申し上げます。

二年前に審査会員の推挙を戴いて、まだそこより更なる努力の実態を得られぬまま出来た作品で、歴代の受賞の方々の作品を拝見すると、自分は値しなく思え恥しい限りです。

漢詩の行草作品に取り組み続けています。流麗な、意に適った筆の動き。文字列から行の流れ、縦に伸びてゆく勢いと、並ぶ行の横への展開、そして全体のまとまり構成、と考えると舞台演出のような思いがしています。面白さと苦しさが交互に堆積していきます。

亡き恩師の池田龍仙先生からは、米芾で文字の結体を習い、中国明清時代の董其昌、傅山、王鐸の臨書をして連綿草の勉強をと言われ、自分に言いきかせております。

今回の劉滄の「秋日山寺懐友人」は、美しい語句と美しい字面の文字が並ぶ印象深い漢詩で、良い表現ができる詩だと直感しましたが、最初はくずし字をただ並べただけの無味乾燥な表現しかできませんでした。何とか章法を自然な感じで取り入れ、ここまでになった次第です。まだまだ課題は残ります。

この受賞に恥じぬよう精進する所存です。今後ともご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げます。末筆になりましたが、日本書道教育学会の益々の御発展を心より祈念申し上げます。

尾上柴舟賞 甲谷 景子

甲谷 景子

この度は、栄誉ある「尾上柴舟賞」を賜りまして、ありがたく感謝の念で一杯です。審査にあたられました石橋鯉城先生はじめ、諸先生方の御温情に厚く御禮申し上げます。今日までお導きくださいました諸先生、書友の皆様にも、心より感謝申し上げます。

今回の題材は、木下利玄の「牡丹花は咲き定まりて静かなり 花の占めたる位置のたしかさ」の歌。以前から、この空間をみごとにとらえた、凛とした緊張感のある歌を書いてみたいと思っておりました。

120×120の方形の紙を前にしますと、なぜかワクワクして、どういう構成にしようかと考えている時は、悩み多くも楽しい時間です。が、それは束の間で枚数を重ねるごとに、自分のイメージしていたものからどんどん遠ざかっていき、そもそも自身が思い描いていたものがまちがっていたのではないかと、振り出しに戻る日々でした。毎年のことながら、「書けなかった」という失意のまま提出しましたので、このような身に余る賞を賜りましたことは大変な驚きでした。励みになりました。

歌、紙、墨、筆、雅印を作ってくださった方達や先生方の御助言など、たくさんの力をお借りしての作品づくりが出来ますことは、とても幸せなことです。

かつて、尾上白邨先生が「書学」に、「作品づくりに終わりはなく、美の追求は生涯かけての大事業」とお書きになっていたことがありました。これからも精進してまいります。

今後共、御指導よろしくお願い致します。

石橋犀水賞 浅野 秋月

浅野 秋月

この度は栄えある石橋犀水賞を賜わり感無量です。これも偏に石橋鯉城会長先生をはじめ審査に当たられました諸先生方のご厚情に厚く御礼申し上げます。

今回の作品は「崔子玉座右銘」ですが、五言二十句の百字からなる文章を、全文にするか、一節に限ったものにするか、いずれかを考えていました。結果は座右銘の冒頭の部分を全紙二枚継ぎの大きさで作品化しました。

日頃は石橋犀水先生の作品に憧れ作品集などを拝見して学習しております。今回の作品制作にあたり「石橋犀水の書業」「犀水八十寿」「犀水作品集」などの漢字作品をその大きさで小さく写し、何処に表現の高さを求めるべきか模索しました。また犀水先生が学習された日下部鳴鶴先生の条幅に関しても改めてその美が何処か探りました。これらの中で眼識力の不足している私なりに学んだ感覚を基礎として創作した次第です。

三行の作品をいかに新しい感覚で表現すべきかをテーマに「行の変化とバランス」を考えました。特に、立体感を演出し二行目を大きくして会場に映える作品にと思って表現しました。結果的には功を奏することができ、私なりに今後の精進するにあたって良い契機を与えて頂き感謝しております。

これまで同様に先輩同志のご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

末筆ながら本展ならびに本会の益々のご発展を祈念して、御礼の言葉とさせて頂きます。

石橋犀水賞 池田 撫山

池田 撫山

書きたい時に書きたい素材、ひそかに温めてきた自由詞、初秋の気心地よき日、故郷の風光が重なりて筆を執り楽しんだ一作、計らずも身に余る栄えある石橋犀水賞を賜りましたこと、真逆‼にびっくり、只々感謝、厚く御礼申し上げます。

母の温もりも知らず雪深い信州志賀高原麓の生家、高橋泥舟の扁額を仰ぎながら育ち、その墨魂に導びかれ通信教育の道へ。七十歳の頃より病との格闘、数多の手術を乗り越えて早や米寿、思いがけなく大きなご褒美を授りました。學會展は第二十回展より参加、傍に良きライバル在りて共に「書は道草なり」を実行。一度も休む事もなく墨の香のしみ込んだ柱や床を甘んじての日々です。大地を踏みしめる力も覚束無くなりましたが、故郷の美しい山河を見つめ詩情画意を心がけて楽しみたいと思っています。

末筆になりましたが、日本書道教育学会の益々のご発展を祈念申し上げます。ありがとうございました。

審査会員推挙 阿部 彩雪

阿部 彩雪

この度、第七十一回書道學會展におきまして審査会員推挙という身に余る賞を賜り、驚きと喜びで一杯でございます。

これも偏に石橋鯉城先生はじめ、審査にあたられた諸先生方のご厚情と、深く感謝申し上げます。

また、ここまで書を続けて来ることができましたのは、出会いの機会に恵まれて御指導を賜った先生方のお導きがあったればこそと存じます。

昨今、会うこともかないませんが、時には背中を押し、温かく支えてくださった書友の皆さんにも、この場をお借りして御礼申し上げます。

雪国の山の佇まいは厳しく、雪解けと共に大地から萌え出る草花は、春の息吹きと希望を人々に与えてくれます。そんな自然を彷彿とさせてくれる茅舎の句に出会い、その雰囲気を紙面に表わしたいと思いました。しかし身体の不調により、一年半以上も書から離れていた身には、不安も大きく、線質、バランスには最後まで試行錯誤でしたが、大好きな絹目夾宣と天衣無縫の墨に助けられ出品することができました。

これからも、無形文化財に登録された書道を学ぶ幸せをかみしめて行きたく思います。

最後になりましたが、日本書道教育学会の益々のご発展を心より祈念申し上げます。

審査会員推挙 梶原 祥鳳

梶原 祥鳳

この度は、第七十一回書道學會展におきまして「審査会員推挙」という身に余る賞をいただきまして驚きと喜びの気持ちで一杯でございます。これも偏に、石橋鯉城先生はじめ審査に当たられました諸先生方のご温情のお蔭と、深く感謝申し上げます。又、共に学び励まして下さる書友の皆様、家族の理解に感謝いたします。

梶原の家に嫁いで三十七年が経ちましたが、同居していた義母(主人の母)が四月八日に永眠致しました。自らよく働き、人々のお世話もして社会貢献もして来られ、農業など何も出来ない私に様々な事を教え、励ましてくれ書道も応援してくれました。何もご恩に報いることが出来ず残念でとても淋しい気持ちでいます。これを機に気を引き締めて、誠実な心を忘れず一層精進して参りたいと存じます。

今後ともよろしくご指導の程お願い申し上げます。

コロナ禍で、皆、大変な思いをしていると思います。早い終息を願っております。

末筆になりましたが、日本書道教育学会の益々のご発展を祈念申し上げ、御礼の言葉とさせていただきます。

審査会員推挙 金垣 清苑

金垣 清苑

この度、第七十一回書道學會展におきまして全く思いもかけず「審査会員推挙」を賜り、身に余る光栄と感謝の念で一杯でございます。これも偏に、会長先生をはじめ、審査にあたられました諸先生方のご厚情と感謝申し上げます。そして、永きに渡って温かいご指導をいただいております船橋玉苑先生のおかげと心より御礼申し上げます。

コロナ禍となって二年が過ぎようとしております。学校やおけいこで関わっている生徒たちの「また行事が中止になった。」という悲しい声を日々耳にしておりました中で出会ったのが、今回の題材でした。

閉塞感を感じる日々とはなりましたが、思いがけずできた時間に書と向き合い、改めて奥深さを痛感した貴重な時間となりました。まだまだ課題は、山積みですが日々精進を重ねてまいりたいと存じますので、今後ともご指導くださいますようよろしくお願い致します。

末筆ではございますが、日本書道教育学会の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

審査会員推挙 須山 万寿

須山 万寿

この度、第七十一回書道學會展におきまして、審査会員推挙の賞を賜り誠にありがとうございました。審査に当たられました会長石橋鯉城先生はじめ、諸先生方の御温情に感謝致し御礼申し上げます。

コロナ禍で人との繋がりの貴重さを感じる此の頃、私は、「石橋犀水書簡集」を繰返し読ませて頂きました。人との交わりを大切にされ、常に相手を思い書を思い、会のことを思いご多忙の日々を過ごされたご様子のこの書簡集に強く心惹かれました。一通一通が美しい作品に仕上がっているのにも感じ入り、頁を繰って眺めているのが楽しい時間でした。

今回の私の作品はこの書簡集から示唆を受けたものでしたが、初めに抱いたイメージとはほど遠いものとなりました。その作品に受賞の知らせを頂き驚きと共に嬉しく思っております。これを機に更に精進して参る所存です。今後共よろしく御指導賜りますようお願い申しあげます。

多くを学ばせていただき、私を育てて下さった大阪書学院も閉院となり感慨も一入ですが書との関わりは続けて参りたいと思っております。

最後になりましたが、日本書道教育学会の益々のご発展をお祈り申し上げます。

審査会員推挙 辰巳 望水

辰巳 望水

第七十一回書道學會展に於きまして、栄誉ある「審査会員推挙」を賜り、驚きと喜びで一杯でございます。

審査にあたられました石橋鯉城先生はじめ諸先生方のご厚情の賜物と深く感謝申しあげます。

今回の題材は「千字文」にある「藍」にしました。字形の美しさに惹かれ、好きな藍染の色を「現代の書として、自分の感動を全身で表現し余韻のある作品」を目標とし取り組みました。しかし予想以上に難しく、特に「臣」「皿」の所で筆が止まり、「意前筆後」「筆の重さで書く」ということができず、この点は次の課題となりました。

此の度の受賞を糧に、書道の出来ます環境に感謝をし、楽しみながら一層の努力、精進を重ねてまいりたいと思います。

石橋鯉城先生、應和先生はじめ諸先生方、今後とも御指導御鞭撻を賜わりますようお願い申しあげます。

終りになりましたが、日本書道教育学会の益々のご発展を心よりお祈り申しあげます。

審査会員推挙 永瀬 和子

永瀬 和子

この度は、第七十一回書道學會展におきまして、審査会員推挙の栄を賜り感謝の気持ちで一杯で御座います。石橋鯉城先生をはじめ審査に当たられました諸先生方、直接御指導頂く中村清徳先生に厚く御礼申し上げます。

今回の作品は、歌人与謝野晶子の美しい情景歌より十四首を選び巻子に仕上げた物です。細字の作品構成は静と動を呼吸するように自然に表現され大変難しく、最後の印の位置まで緊張感が続きます。行の縦構成・緻密に練られた揺れ・左への指向・余白の布置等々改めて造型意識の重要性を痛感致しました。仮名の魅力は何と言っても、秀麗な線と美しい料紙の融合そして、何世紀の時を経ても美を放つ品位の高い古筆の存在でしょうか。嬉しい事に、令和四年東京国立博物館に於きまして創立百五十周年記念展が開催されます。美しい能書を直接拝見出来る機会を楽しみにしています。

この賜りました賞を糧としてさらなる精進に努める所存で御座います。今後とも何卒よろしく御指導賜りますようお願い申し上げます。

最後になりましたが、日本書道教育学会の益々の御発展を祈念申し上げます。

審査会員推挙 中野 光葉

中野 光葉

この度、第七十一回書道學會展におきまして、審査会員推挙という身に余る賞を賜り、誠に有難うございました。これも偏にコロナ禍の厳しい環境の中、石橋鯉城先生を始め、審査にあたられました諸先生方のご厚情の賜物と深く感謝申し上げます。私は、長きに渡り故進藤正則先生の指導のもと、本展に出品を重ねて参りました。先生の細やかなアドバイスや厳しい批評を頂いた頃が如何に得難い充実した日々であったかを、今まさに五年の歳月を経て喪失感と共に実感しているところです。書友の皆様の温かい励ましも支えとなっており、感謝しかありません。

今回は学会の漢字造型推進に習い、ここ二年ばかりで激変してしまった生活に慣れつつも、どこか落ち着かない気持ちを表現してみたく筆を執りました。紙を破るほどの勢いを表現出来ればと試行錯誤しましたが、思いばかりが先走った作品となり、改めて力不足を痛感したところでございます。この度の受賞は、「まだまだ頑張りなさい」という𠮟咤激励と受け止めております。ここまで書道に邁進出来る環境に感謝しながら、初心を忘れることなくより多様な作品創りを心掛け、日々精進してまいります。

最後になりましたが、日本書道教育学会の益々のご発展を心より祈念申し上げます。

旺文社社長賞 篠﨑 淡月

篠﨑 淡月

第七十一回書道學會展におきまして、栄えある旺文社社長賞を賜り、あまりにも思いがけぬことに誠に恐縮するばかりです。温かくご配慮いただきました先生方のご厚情に、心より御礼申し上げます。

書道を書学院にて始めましたときから、二十年程になりました。長きにわたり、沢山の励ましのお言葉とお導きをいただきました諸先生方には、感謝の気持ちでいっぱいです。

この度の作品は、菅原道真が幼少の頃に初めて詠んだとされる漢詩を題材にいたしました。「雪のような月光、星のような梅の花、庭に漂う梅の香り」そのさまが目に浮かぶ美しい詩です。この情景を写し出すため、唐紙に淡墨で表現しようと取り組みました。しかしながら書き始めれば、つくり過ぎた草稿の形にとらわれ、気韻生動を念ずるも、自然な運筆がままならないという苦渋の連続です。まだまだ書の険しい道のりは長くなりそうですが、この受賞を励みに日々精進して参りたいと存じます。

予期せぬコロナ禍の中、好きな書を続けられることは有難く、見守ってくれる家族、書友には感謝しております。

日本書道教育学会の益々のご発展を心より祈念いたします。誠に有難うございました。

旺文社社長賞 吉川 虹舟

吉川 虹舟

この度は、第七十一回書道学会展におきまして「旺文社社長賞」という身に余る栄誉を賜り、誠にありがとうございます。受賞の知らせに感激し、感謝の気持ちに溢れております。これも偏に、審査に当たられました石橋鯉城会長先生はじめとする諸先生方、恩師金子魚心先生、大倉彩華先生、諸先輩方の御温情のお蔭によるものと、心より厚くお礼申し上げます。

今回、題材といたしました「中阿含経」巻第九は、奈良国立博物館が所蔵する一難寶郎写経の「重文 中阿含経(巻第九)(善光朱印経)」「郁伽長者經第七と第八」を手本にしました。

第六十四回學會展において「法隆寺管長賞」を受賞した「中阿含未曾有法品手長者經第九」の続きとなります。古写経に書者名のあるものが稀な中、一難寶郎は正倉院古文書中にも其の名が見え、人間の手腕としてこれ以上の端麗さを文字に求め得まい人間の絶技であると讃嘆された写経師の、現伝する唯一の写経として知られるのが本巻であります。一難寶郎の中阿含経との出会いに縁を感じ、射るような冴えた筆力、活き活きとして一字一字が屹立して迫る様を躍動感をもって表現するように努めました。「郁伽長者經第七」は最初の三七四文字が欠損しているため、統一感を損なわぬよう再現を心がけました。

書学院生として、書の道を志しながらただ文字を美しく書くだけでなく「学(学問)・藝(藝術)・道(心道)」の学会の理念を追求することにおいて、写経は正にその実践であります。今後もさらに精進に努めて、写経の魅力、文字を書くことを通して仏教の教えを伝えてまいりたいと思います。

最後に、伝統ある書学院で学ぶことができる幸せに感謝するとともに、日本書道教育学会の更なるご発展を祈念いたします。今後ともご指導くださいますよう、よろしくお願い申し上げます。

文部科学大臣賞 石渡 櫻佳

石渡 櫻佳
南無大師遍照金剛

徒歩と一部バス等も利用し、二十四日間の四国八十八カ所、三度目の巡礼を無事終え、ほっとしておりました時、受賞通知を頂戴致しました。これは、お大師様からのお気持ちに違いない。土砂降りの雨の中、足に出来たマメの痛さに耐えながら歩いた遍路道を思い出しながら胸が熱くなりました。

この度は文部科学大臣賞を賜り驚きと感激で一杯でございます。

日本書道教育学会との出会いは、続けておりました鷹見芝香先生「芝風会」による「ぺん時代」誌が令和二年八・九月号で休刊となり「ぺんの力」に編入させていただいたことがご縁となり、憧れていた仮名書も併行して勉強させていただこうと決心致しました。その折は、ご担当の皆様に大変お世話になりありがとうございました。

昨年度、臨書・漢字の部に初出品させていただき嬉しい入選、そして今年度は受賞と、これも偏に石橋鯉城先生はじめ諸先生方のご温情によるものと心より感謝申し上げます。

この受賞を励みになお一層精進してまいります。今後ともご指導よろしくお願い致します。

末筆ではございますが、日本書道教育学会の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

誠にありがとうございました。

合掌 

文部科学大臣賞 八尋 蒼雲

八尋 蒼雲

この度は、文部科学大臣賞という栄誉ある賞を賜り誠にありがとうございます。

未熟な作品に、このような立派な賞をいただけるとは、全く予想しておりませんでしたので、驚きと感激で胸が一杯でございます。

これも偏に審査に当たられました諸先生、書友の皆様の御指導の賜と深く感謝申し上げます。そして、家族に支えながらの賞であると、様々なことが思い出されます。

ここ数年、篆刻作品も出品しております。篆刻の元である篆書を学んでいると、その造形の美しさに心惹かれます。今回の作品も、篆書の今の文字にない美しさを表現出来ればと思い運筆いたしました。美しさと同時に書のエネルギーみたいなものを感じていただければ幸いです。

今の感激を忘れず、これからも努力、精進して参る所存でございます。

今後とも、御指導御鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

末筆になりましたが、日本書道教育学会の益々の御発展をお祈り申し上げます。

東京都知事賞 蓬田 溪仙

蓬田 溪仙

この度は、第七十一回書道學會展におきまして、東京都知事賞という身に余る栄誉を賜り、驚きと喜びでいっぱいでございます。

これも偏に石橋鯉城先生をはじめ諸先生方のお蔭と厚く御礼申し上げます。

日本書道藝術専門学校を卒業して十年以上経過いたしますが、当時の充実した日々はかけがえのない思い出です。卒業制作で書道學會展に出品して以降、欠かすことなく最大寸法での臨書に取り組んでまいりました。現在はサラリーマンで多忙な日々ではありますが、字を書く愉しさをかみしめながら精進しております。二〇一九年にインスタグラムの「#(ハッシュタグ)週一枚の臨書課題」と出会い、週に一枚決められた課題を半紙に臨書して投稿するものですが、篆、隷、楷、行、草書体問わず書くため、線の鍛錬になり励みとなっております。学生当時、先生方が「多書、多見」とおっしゃっていました。多く書き、多く見ることは本当に大事なことであると改めて実感しております。限られている時間の中でも、字を書くことを怠らず、更なる研鑽に努めてまいります。今後ともご指導ご鞭撻の程、宜しくお願い申し上げます。

末筆ではございますが、日本書道教育学会の益々のご発展を心よりお祈り申し上げます。

法隆寺管長賞 山田 恒子

山田 恒子

第七十一回書道學會展におきまして、思いがけず、栄誉ある法隆寺管長賞を賜り、誠に身に余る光栄と感謝の念で一杯でございます。

ふり返りますと、不二誌に出会ったのは、十七年前の事でございました。只々書く事が楽しく、今日に至って居ります。受賞にあたって思い出すのは若干四十六才で逝った父の事、書が大好きで夕食後、灯火管制の中、毎夜筆を執って居りました。当時小学生だった私は、一緒に書く様に云われ、戦事中で紙も無かった時代、新聞紙に「習」と云う字を何枚も、「まあ宜敷い」と云われる迄書かされた覚えがあります。その頃は“眠くて嫌だな”と思うばかりでしたが、今思えばその事が書く楽しさにつながって居るのかも知れません。

冩経の前には必ず、無き父、無き恩師に手を合わせ祈りをさゝげてから書き始めます。

今回の受賞に天の彼方から、“もっと自分に納得出来る様な字を書きなさい”、と叱る声が聞こえた様に感じました。一生懸命書いたつもりでも、それだけでは足りない物が有ります。経文を理解し、書を深堀りして更に研鑚を深めなければと思う毎日です。大きな賞を頂き乍ら、全てが程遠く今後の課題として取り組んで参り度いと思います。今迄御指導下さいました先生方、審査に当たられました先生方に心より厚く御礼申し上げます。

日本書道学会の益々の御発展を祈念申し上げお礼とさせて頂きます。

会長賞 細山 花柊

細山 花柊

この度第七十一回書道學會展におきまして会長賞という身に余る栄誉を賜り誠に有難う存じます。

写経研究で金子先生、水野先生、大倉先生という素晴らしい師との出会いを喜び、また真摯に写経に取り組まれる先輩方の姿勢に感激し、少しでも近づきたいとの思いで書写を続けてまいりました。望外の賞の報に驚き感謝の気持ちで一杯です。

今回の作品、「佛遺教經」は張即之の個性的で力強い書風に魅力を感じ選びました。天平写経を中心に勉強してまいりましたので、思い切り太い線を出す独特の筆法に苦労いたしましたが、一字一字書き進めますと、その線の太・細の激しさの中に、經としての落ち着きがあることを感じ、その表現にあらためて感服いたしました。

コロナ禍の二年余りの間に私の身の回りにも大きな変化がありました。その中、無心に書写することに救われた思いでございます。写経作品は、丁寧に罫線を引き、数千字を根気よく書き続ける難しさがありますが、作品を書き終えました時の達成感は他に代え難いものでございます。この受賞を励みに、今後も精進してまいります。

最後になりましたが、日本書道教育学会の益々のご発展をお祈り申し上げます。

会長賞 和多田 彩光

和多田 彩光

この度、会長賞という栄えある受賞のお知らせをいただきました。思いもしない受賞で石橋鯉城先生からのお祝いのお知らせを受け取り、その重さをひしひしと感じているところでございます。

作品制作にあたっては、日頃から準備していた古今集から二十首を選び、春夏秋冬に並べ帖にまとめました。師である中村とく先生のご指導を仰ぎ、短い期間ではありましたが、今までにない集中力で取り組みました。

模様のあるもの、無地のもの、色の取り合わせ並べ方など料紙の扱い方、一文字の中での線の変化など勉強することが沢山見つかり充実した時間を持つことができました。

これも私共の書への取り組みの指針を与え続けて下さる日本書道教育学会の先生方のお蔭と感謝申し上げます。又いつも私達の先頭に立ち、自分に甘えない厳しさと、書の楽しさを教えて下さる中村とく先生にも心より感謝申し上げます。そしてお互いに、切磋琢磨できるお仲間がいることの幸せにも感謝したいです。

神社の社務所にあった書道教室に入ったのは、小学校中学年の頃でした。先生がいらっしゃる前に皆で長机を並べ、先生が遅れた時は境内のブランコで待っていました。懐しく思い出されます。途切れた時期もありましたが、書はいつも私のそばにありました。これからもより美しい線を求め、自分に甘えず、でも楽しく続けていきたいと思います。

この度は、本当にありがとうございました。